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何歳まで働く?定年延長制度を解説します!

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みなさんおはようございます!こんにちは。しゅーです。

今年の6月に改正国家公務員法、地方公務員方が可決され、公布されました。

ニュースなどでご存知の方もいるとは思いますが、定年年齢が60歳から65歳まで引き上げになりました。

そこで今回は(私の勉強も兼ねて!笑)定年延長制度について、少し書いていこうと思います。

 

今回の改正法では主に下記の4要素があります。

  1. 定年年齢の段階的引き上げ
  2. 役職定年制の導入
  3. 役職定年後の給与
  4. 定年前再任用制度の導入

議案の要旨は⬇︎こちら⬇︎をご覧ください。(参議院HPより)

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/204/pdf/580201530.pdf

なんとなく新聞記事等で目にしたり、お勤めの自治体の組合からの情報などで知っていることもあるかもしれません。

私たちが定年迎えるときには80歳くらいになるんじゃない?みたいな言葉も聞こえてきたりしますが…笑 それはそれで日本が健康でいることの証なので良いことでもあるかもしれないですね!笑

それでは、一つずつ見ていこうと思います!

1.定年年齢の段階的引き上げ

結論から書きます。令和5年度から2年ごとに1歳ずつ定年が引き上げられていきます。

  • 5年度、6年度  ⇨ 61歳
  • 7年度、8年度  ⇨ 62歳
  • 9年度、10年度   ⇨ 63歳
  • 11年度、12年度 ⇨ 64歳
  • 13年度以降   ⇨ 65歳

ここからは改正法の規定ぶりについて少し見ていこうと思います。法はどうでも良いよ!という方は飛ばしちゃってください。笑

 

まず前提として地方公務員法には、定年が60歳と明確に規定されてはいません。

地方公務員法

(定年による退職)
第二十八条の二 職員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日までの間において、条例で定める日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
2 前項の定年は、国の職員につき定められている定年を基準として条例で定めるものとする。

これが私たちの定年の根拠となる条文です。※改正前の現行法です。

第2項で定年年齢の基準は国の職員につき定められている定年、を基準として定めることとされています。

つまり国家公務員法を見ていく必要がありそうです。

国家公務員法

(定年による退職)
第八十一条の六 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。

 【改正後】
②前項の定年は、年齢六十五年とする。ただし、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十五年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める医師及び歯科医 師その他の職員として人事院規則で定める職員の定年は、六十五年を超え七十年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢とする。

【改正前】
② 前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
一 病院、療養所、診療所等で人事院規則で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年
二 庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの 年齢六十三年
三 前二号に掲げる職員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員で人事院規則で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢
③ 前二項の規定は、臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員には適用しない。

これが国家公務員法の規定です。改正前は60歳を定年として、職種によっては65歳だったり63歳だったりしたわけです。それが65歳定年が原則に引き上がったことがわかります。

そして一気に5年伸ばします!となると定数だったり本当にさまざまなところに影響がありますので、附則にて経過措置として段階的な引き上げを規定しています。

附則第八条 令和五年四月一日から令和十三年三月三十一日 までの間における第八十一条の六第二項の規定の適用 については、次の表の上欄に掲げる期間の区分に応じ 、同項中「六十五年」とあるのはそれぞれ同表の中欄 に掲げる字句と、同項ただし書中「七十年」とあるの はそれぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

令和5年度、6年度 ⇨61歳,66歳

令和7年度、8年度 ⇨62歳,67歳

令和9年度、10年度  ⇨63歳,68歳

令和11年度、12年度 ⇨64歳,69歳

※表は便宜上、簡易表記にしています。

国家公務員法でこのように規定されていますので、おそらく(というかほぼ間違いなく)すべての自治体で同じように2年ごとに1歳ずつ定年が延長され、令和13年度からは65歳定年となっていくということになります。

2.役職定年制度の導入

定年が65歳まで延長されると、当然ですが5年間退職までの期間が伸びます。今いる課長さん、部局長さんが5年勤務が伸びることになると、ポストも空かず、若手職員が昇任していく隙がほぼなくなっていきますよね。それは若手の離職率増や、モチベーションの低下、また組織の新陳代謝としてもよろしくない!ということで、いわゆる役職定年制度が導入されることとなっています。

具体的には従来(現行)の定年年齢である60歳を迎えた職員は、翌年度から(正確にいうと翌年度を迎えるまでに。)いわゆる管理職から降任し、担当者級として勤務をすることとなります。この管理職の範囲は条例で定めることとされています。

改正法を見ていきましょう!

地方公務員法(改正後)

(管理監督職勤務上限年齢による降任等)
第二十八条の二 任命権者は、管理監督職(地方自治法第二百四条第二項に規定する管理職手当を支給される職員の職及びこれに準ずる職であつて条例で定める職をいう。以下この節において同じ。)を占める職員でその占める管理監督職に係る管理監督職勤務上限年齢に達している職員について、異動期間(当該管理監督職勤務上限年齢に達した日の翌日から同日以後における最初の四月一日までの間をいう。以下この節において同じ。)(第二十八条の五第一項から第四項までの規定により延長された期間を含む。以下この項において同じ。)に、管理監督職以外の職又は管理監督職勤務上限年齢が当該職員の年齢を超える管理監督職(以下この項及び第四項においてこれらの職を「他の職」という。)への降任又は転任(降給を伴う転任に限る。)をするものとする。ただし、異動期間に、この法律の他の規定により当該職員について他の職への昇任、降任若しくは転任をした場合又は第二十八条の七第一項の規定により当該職員を管理監督職を占めたまま引き続き勤務させることとした場合は、この限りでない。
2 前項の管理監督職勤務上限年齢は、条例で定めるものとする。

3 管理監督職及び管理監督職勤務上限年齢を定めるに当たつては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
4 第一項本文の規定による他の職への降任又は転任(以下この節及び第四十九条第一項ただし書において「他の職への降任等」という。)を行うに当たつて任命権者が遵守すべき基準に関する事項その他の他の職への降任等に関し必要な事項は、条例で定める。
(管理監督職への任用の制限)
第二十八条の三 任命権者は、採用し、昇任し、降任し、又は転任しようとする管理監督職に係る管理監督職勤務上限年齢に達している者を、その者が当該管理監督職を占めているものとした場合における異動期間の末日の翌日(他の職への降任等をされた職員にあつては、当該他の職への降任等をされた日)以後、当該管理監督職に採用し、昇任し、降任し、又は転任することができない。
(適用除外)
第二十八条の四 前二条の規定は、臨時的に任用される職員その他の法律により任期を定めて任用される職員には適用しない。

地公法では管理職を「管理職手当を支給される職の職員」「これに準ずる職員」で条例で定める職員としています。つまり、単なる係長級では足りないと解釈して良いでしょう。(自治体によって異なる点だと思いますが。。。)

そして条例で定める年齢(国では60歳とされています。)に達した職員は翌年度開始まで(これを「異動期間」と言います。)に管理職ではない役職に後任することとされていますね。

第3項で国公準拠が謳われていますので、おそらく全国横並びとなることでしょう。

 

3.役職定年後の給与

役職定年を迎えた後、給与はどうなるのでしょうか?職務級の原則から当然管理職でなくなるため、給与は下がります。

とはいえ、一気に所得が減少するとやはり困るという声もあるでしょう。そのことから原則として役職定年前の7割の水準にすることとされています。

◯一般職の職員の給与に関する法律(改正後)

附則

8 当分の間、職員の俸給月額は、当該職員が六十歳(次の各号に掲げる職員にあつては、当該各号に定める年齢)に達した日後における最初の四月一日(附則第十項において「特定日」という。)以後、当該職員に適用される俸給表の俸給月額のうち、第八条第三項の規定により当該職員の属する職務の級並びに同条第四項、第五項、第七項及び第八項の規定により当該職員の受ける号俸に応じた額に百分の七十を乗じて得た額(当該額に、五十円未満の端数を生じたときはこれを切り捨て、五十円以上百円未満の端数を生じたときはこれを百円に切り上げるものとする。)とする。


10 国家公務員法第八十一条の二第三項に規定する他の官職への降任等をされた職員であつて、当該他の官職への降任等をされた日(以下この項及び附則第十二項において「異動日」という。)の前日から引き続き同一の俸給表の適用を受ける職員のうち、特定日に附則第八項の規定により当該職員の受ける俸給月額(以下この項において「特定日俸給月額」という。)が異動日の前日に当該職員が受けていた俸給月額に百分の七十を乗じて得た額(当該額に、五十円未満の端数を生じたときはこれを切り捨て、五十円以上百円未満の端数を生じたときはこれを百円に切り上げるものとする。以下この項において「基礎俸給月額」という。)に達しないこととなる職員人事院規則で定める職員を除く。)には、当分の間、特定日以後、附則第八項の規定により当該職員の受ける俸給月額のほか、基礎俸給月額と特定日俸給月額との差額に相当する額を俸給として支給する。

こちらは国家公務員の規定ですが、

8項では役職定年ではない60歳を迎えた職員の給与に対する規定です。月額の7割を支給するよという趣旨の規定ですね。

続いて10項ですが、こちらが役職定年をした職員の給与に関する規定です。降任により受ける給与と、その前日(管理職時代)の給与を比較して7割に満たない場合は、調整額として7割水準を保証するよという趣旨の規定になっています。

いずれにしても60歳を迎えた翌年度からは、年度末の7割水準の給与支給が受けられるということになりますね。

 

4.定年前再任用制度の導入

定年が延長され、今までの再任用制度はどうなるんでしょうか?60を迎えたら、週3日勤務でのんびりと…と考えてきた方もいるんではないでしょうか?笑

ご安心ください!定年前再任用制度というものが新たに新設され、いわゆる再任用短時間勤務制度は残ります。

地方公務員法(改正後)

第二十二条の四 任命権者は、当該任命権者の属する地方公共団体の条例年齢以上退職者(条例で定める年齢に達した日以後に退職(臨時的に任用される職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び非常勤職員が退職する場合を除く。)をした者をいう。以下同じ。)を、条例で定めるところにより、従前の勤務実績その他の人事委員会規則で定める情報に基づく選考により、短時間勤務の職(当該職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間が、常時勤務を要する職でその職務が当該短時間勤務の職と同種の職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間である職をいう。以下同じ。)に採用することができる。ただし、条例年齢以上退職者がその者を採用しようとする短時間勤務の職に係る定年退職日相当日(短時間勤務の職を占める職員が、常時勤務を要する職でその職務が当該短時間勤務の職と同種の職を占めているものとした場合における第二十八条の六第一項に規定する定年退職日をいう。第三項及び第四項において同じ。)を経過した者であるときは、この限りでない。

2 前項の条例で定める年齢は、国の職員につき定められている国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第六十条の二第一項に規定する年齢を基準として定めるものとする。

3 第一項の規定により採用された職員(以下この条及び第二十九条第三項において「定年前再任用短時間勤務職員」という。)の任期は、採用の日から定年退職日相当日までとする。

1項は、任命権者が条例で定める年齢(60歳になると思います。)を迎えた職員を短時間勤務職員として任用することができるという規定です。

3項でその任期が定年退職日(65歳の年度末)までになることが期待されています。

今までは再任用職員については、一年度ごとに採用され満了を迎えるという形になっていましたが、今後は一度任用されると65歳までの任期となります。

いわゆる定年退職年齢が、公務員として勤務できる年齢の上限と一致しました。そのため今後は従来の再任用職員という制度は全く無くなります。代わりにできるのが、定年前再任用制度ということになります。

 

5.まとめ

  • 令和13年度に定年が65歳まで引き上げられる。
  • それまでは令和5年から2年ごとに1歳ずつ定年を引き上げ。
  • 60歳の年度で役職定年として管理職からは降任となる。
  • 60歳以後の給与は、60歳の時の給与の7割水準が支給される。
  • 60歳以後は、定年前再任用職員として短時間勤務職員となることが可能。(任期は定年退職日まで。)

となります。今後実運用面も含めて、さまざま情報が出てくるかと思います。また、各自治体で条例を規定したり職員団体との折衝など詳細に期待されてくるかと思います。今回の記事で書いたのは、大枠となる部分です。

 

国等から情報が出たら、また記事を書いてみようと思います。

それでは、本日はこの辺で!